絵本に出てくる山姥(やまんば)

今月の童話館便りも、またまた興味深いお話でした。


絵本にはよく山姥(やまんば)が出てきますよね。
「姥捨て山」というお話があるように、昔は口べらしのために年老いた
親を山奥へ捨てる風習があったそうです。
それも、一部の地域の出来事ではなく、一般的な出来事として…
昔の人は非情だったということではなく、村単位で生活をしていたので
その村落の収穫で生きられる人数が決まっていたので、生産と収穫のバランスが
とれなくなったお年寄りは山へ捨てられたというのです。
周囲の監視がきつく、泣く泣くといった感じだったのかもしれません。



村人があやまって山奥まで迷い込んだとき、捨てられたお年寄りに遭遇した
かもしれません。髪もボサボサで着物もボロボロだったでしょう。
そんな風貌を見た人は、おばけのように怖いと感じたのかも。
そういう事実があって、山姥の物語が多く生まれたのではないかと…



もうひとつ面白い見方があり、「山姥=子供の自立を邪魔する母親」
としてもとれるというのです。山姥が小僧(子供)を手元におこうとし、食べようと
していることは、子供が自立しようとする精神を、母親が自分の心の欠落を埋める
ために食おうとするというのです。
母親が子供を慈しむ母性が強すぎると、子供を精神的に滅ぼす魔力になると
解説しています。なるほどなと思います。
愛情不足がよくないのは一目瞭然ですが、愛情過多は知らずに陥ってしまうかも…
来月も続きがあるようなので、楽しみにしています。